内部監査や二次監査で監査結果を数値化する方法が述べられている。20項目に5点満点のスコアを付ければ済むだけ。簡単なので採用されてはいかがか。現役時代には、もっと複雑だけど、同じような数値化を行っていた。ある一定の成績が二年以上続けば、翌年の監査無くした。
根本原因の究明による「再発防止策」を確実に実行するプログラムが、効果的な是正処置だと力説する著者。「root cause analysis training」の長年にわたる経験からの意見には説得力がある。20年前のシンガポール工場で体験したことが思い出された。
ISO9001:2008で供給者についての記述は多くない。規格の文言では、供給者と購買品の管理の区別も明快とは言えず誤解によるいろいろな混乱がないとは言えない。この著者は、管理すべき供給者は誰かを事例を挙げて説明している。さらに、どのような指標を使って供給者を評価するのかなど、供給者との具体的な関係保持について安易な表現で説明している。
今年の末までに改訂されたISO9004:2009が発刊される。FDISに対する各国の投票も終わったので、文言の修正が終われば正式発行となる。今回は大幅に改正された。それを如実にあらわしているのが、規格の表題だ。規格原文では、Managing for the sustained success of an organization だが、日本語は「組織の持続的成功の運用管理」となるらしい。
さて、この文献では、グローバル化とアウトソーシングが一般化している今日、企業の経営(managing)は難しくなった。新しいISO9004は自社のみならず、供給者とともに発展するにはどうすればよいかを学ぶことができると主張している。
ISO9001の要求事項とも具体的なつながりを持たせて、組織が持続的な成功を続けることができる指針を定めているのが新しいISO9004だとしている。
企業が持続するには経営環境の変化に対応できる能力が不可欠だ。自社の成熟度を高めることを怠れば、その対応力が失われ、日本の自民党の如く敗退する。
日本ではなくアメリカだけの話であってほしいが、この不況下では企業はボトムラインを良くするためにクオリティ関係の専門家をカットする動きがあるようだ。この人たちの企業へどの程度貢献しているのかがいまいち明瞭ではないのがその理由だ。だからこそ、クオリティの専門家たちは、クオリティ活動がいかにボトムラインに貢献しているかを明確にする必要があると著者は主張する。
クオリティ活動を進めるにはコストがかかるが、それを回収できることをやや定性的ではあるが、説明を試みている。未成熟な企業での品質活動のメリットは大きいが、成熟度が高くなるとともにコスト対効果は低くなる。さらに著者は、ISO9001のようなモデル以外の経営品質賞にも言及している。
また、今日のような世界不況下であってもクオリティ関連の機能は衰えていない。企業のボトムライン、すなわち企業業績を向上させ、持続的な成長を成し遂げられると主張する。 分かりやすい英語なので一読を薦める。
小さな会社のオーナーがこの世界的不況化でも生き残るためにISO9001の認証を取得したら航空機メーカーのような大企業の入札に参加することができるようになり、実際に注文をもらった物語だ。
しかし、実際に独力で取得した後、品質マネジメントシステムが求めている程度のことは従来から行っていたこととなんら変わらないことだと気付いている。ただ、認証をとっただけで大企業の対応が変わったことは確かなようだ。
オーナー親子の会話であるように、今までのようなやり方を続けることはできない。なんとかしようとしたのが、ISO9001の認証取得だ。やはりバッジはアメリカでも必要なようだ。このような動きは、日本では昔話になった。今は認証の返上が増えている。
企業経営を持続させるには、クオリティマネジャーに大幅な権限移譲を経営トップが行わないと何も起こらないとZero Defectsの普及に30年も携わってきた著者がいう。 クオリティマネジャーであって「品質管理部長」ではない。直接社長に報告するポジションだ。
外資系企業では、仕事をうまくやり遂げるのは「report to who」を明確にすることが非常に重要になる。私の実経験だが、新しいポジションに就いた最初の仕事は、誰に何をいつ報告するかを決めることだ。日本企業のことはあまり分からないが、ISOが日本に導入されて時に、知ったことがある。「責任と権限」を決めていない企業が日本ではほとんどだった。これが導入の障害になったことを覚えている。
「品質管理部長」は、製品や工程の問題にかかわるが、開発や営業には一切口をはさむことはできない。アメリカでも同じようなことがあったようだ。著者は、クオリティマネジャーはいったい何をしなければならないかを明解にしている。
GMの破たんは、私にも意外だった。今はFordで仕事をしているがGMに勤務したこともある筆者が述べている内部情報を読むと納得できた。ずいぶん昔のことだが、Fordの副社長の一人が行った講演を聞いたことがある。今でも覚えているが、「改善」という漢字二文字が最初のスライドだった。Fordがいかに真剣に日本の改善活動を導入しているかを熱弁した。
この論文によると、GMとトヨタの合弁会社であるNUMMIを経営するチャンスがあったのにもかかわらず、「学ぶこと」をしなかった。70年間もの長い年月、自動車産業界でトップの座を守ってきた企業にとって企業文化を変えることがいかに難しいかを物語っている。
一方、この論文には書いていないが、トヨタはNUMMIにより多大なメリットを得た。トヨタ生産方式を体系的に文章化したのはGMの社員たちだったからだ。トヨタは海外工場を次々に建設し、トヨタの生産方式をこれを使って導入できた。にもかかわらず、NUMMIを閉鎖する方針が決まったようだ。GMの社員たちに十分な補償を行うべきであると考える。
GM本体を支援する余力などない。しかし、トヨタの関連会社の社員はこんなことがあって今があることを忘れないでほしい。トヨタは中国やインドへの進出に出遅れた。世界戦略を間違えるとGMが経験したような運命が待ち構えている。
ISO9001 の導入による成功事例にすぎないが、興味が持って読んだ。インドの宝石商がQMSを活用してインドのみならず中東でも販売網を拡大させた。昔からインド人と商談ができたら一人前だと言われていた。シンガポールに滞在していた時につくずくそう実感させられた。中国人以上に商売がうまい。にもかかわらず、マネジメント・システムを導入したのには理由がある。Unilever や Coca-Cola のような大企業と取引するには、環境やCSRのマネジメント・システムで経営を行わないとだめだったとのこと。
中東のドバイには、経営品質賞のようなもの( Dubai Quality Appreciation Program Certificate )があることにも驚いた。正直言って、中東での企業経営は全く異なった世界であることを体験したので、意外な思いをした。
最後に、コンサルタント会社のサービス内容の豊富さにも驚いた。日本の大企業もこのようなコンサルタントの活用を試みればよいのではないだろうかと思う。新しいマネジメント・システムを構築し、今までとは全く異なった経営環境に対応するためである。日本の市場は縮小する。海外で市場を展開させるしかない。日本人による純血主義は捨てることだ。