以下の文面での注意点は、品質マニュアルの文言と解説が混ざり合っていることです。なぜこんなことをしたのかは昔のことで記憶にありません。よって、。ここに掲載している「品質マニュアル事例」、および「ISOmanの品質マニュアル」を規範として使用し、これは単なる参考資料として扱ってください
品質マニュアルの作成要領
1.0 適用範囲
本品質マニュアルには、当社の品質マネジメントシステムが記述され、以下に示す除外事項以外のISO901:2000の要求事項に対応している。
規格の番号 除外する条項 除外の事由(もし除外があれば)
2.0 関連文書
本品質マニュアルに関連する文書には、以下のものがある:
・ 本品質マニュアルに記載されていない業務プロセスの手順
・ 製品もしくは業務に影響を与える作業指示書
・ 品質マニュアルに記載されている業務の実行に必要なる各種の書式
3.0 用語と定義
特になし。(自社において特殊な用語があれば、記入する)
4.0 品質マネジメントシステム
4.1 共通的要求事項
貴社の品質マネジメントシステムを文書にして、実施することが求められています。一度文書化された品質マネジメントシステムを持てば終わりではなく継続的に改善・改良することが必要です。
まず、以下のことを行ってください。
システムによってお客様の要求している内容を充たすことが確実にできるようにするために必要となる業務の内容はどのようなものがあるか明確にする。たとえば、注文をどのように受け取り、それをどのように現場に伝え、製品が出来上がればどのような方法で納品するかなどの大きな仕事の流れがあるかを決めることです。規格に記載されているプロセスモデルを参考すれば、会社全体の重要な業務をまとめることがしやすくなります。設計業務など小規模企業では一般的に行われていない業務は除外できることに注意してください。
営業業務から始まり出荷までの業務を管理しなくてはならないと考えられる主な仕事または業務を決め、その流れを図示してください。またこれらの業務に関連した他の仕事で品質上重要な仕事(たとえば、会計処理、採用業務)があればそれと流れとのつながりを決めてください。小規模企業では、このような業務はないと思われます。
ここで文章で表現する必要はありません。流れ図や自社のホームページに簡単な仕事の流れを書いて掲載しておくことも一考してください。
これらの業務プロセスの管理基準を決定し、どのような方法で管理するかも決めてください。
継続的に改善する一つのツールとして主要な業務プロセスのパフォーマンス(合格率、時間当たりの製品数など)を測定する必要がある。統計的手法の利用は自動車産業でまず始まったが、今日では同じような手法を一般的なビジネスプロセスにも利用することが期待されている。
主要な業務プロセスをモニターし、測定し、分析することは重要であるとともに、以下のことも行われることが求められている。
期待している結果を達成するために必要な活動を行うという計画を持つだけでは不十分であり、実際に実施しなくては何の意味もない。小規模企業では、製造などの場合不良率のような単純な管理基準を使うことからはじめることもできる。
これら自社内の主要な業務を支援するためにあらゆる種類の経営資源がいつでも入手可能であることを確実にしてください。設備はもちろん要員の確保、資金の準備などが確保しなくてはならない経営資源と対象となる。特に、品質マネジメントシステムでは一定の訓練を受けた内部監査の要員が求められるので留意すること。
必要となるあらゆる経営資源が準備・確保され、いつでも利用できるように手配されなければ、品質マネジメントシステムへコミットメントしていることにならず努力が無駄になることに留意すべきである。
何かの重要な業務プロセスをアウトソース(単純な下請けへの外注はこれに相当しない)する場合には、自社内で行うのと同様な厳格な管理が実施されように品質マネジメントシステムで明確にすること。たとえば、顧客に納入する直前の塗装作業を外注する場合には、満足な仕事をしていると顧客が判定してくれるように自社の製品として取り扱うことである。建設業でよく行われるような「丸投げ」などは許されない。
4.2 文書化の要求事項
文書化に関する一般的予備知識を以下に示す。2000年版ISO9001では、以下のものが文書化されていれば品質マネジメントシステムが存在しているとみなされる。
• 文書化された品質方針と品質目標
• 品質マニュアル
品質マニュアルはかならず必要である。品質方針はどの企業でも作るような内容であってもよいが、自社に見合った内容が望まれる。また、社員全員が理解していることが必要となる。目標は、首尾一貫した内容であり、ほとんどの個人、あるいはチーム、あるいは業務別に設定されることであるばかりでなく、ビジネスの運営に利用されるべきである。
品質マニュアルには、除外する要求事項がある場合にはその事由を述べること。
もし品質マニュアル以外の文書(たとえば、組織図や業務のフロー図など)が必要ならば、関連文書として記載する。
主要な業務は何か、そしてそれらの相互関連を示すプロセスマップを含めること。
• 規格が要求している「文書化された手順書」
ごく少ない手順書だけで済まされる。文書管理、記録管理、不適合製品の管理、内部品質監査、是正処置、予防処置だけ。
• 組織が、プロセスを効果的に計画し、運営し、管理するために必要となる文書
品質マニュアル以外は作成しないという方針を立て、あと必要となる文書は作業指示書だけとなる。経験のある要員や訓練した要員であるならば、この作業指示書も必要でなくなる。
• 品質記録は、規格に(4.2参照)として明記されている。
4.2.1 文書の管理
文書を管理する手順は文書化されなければならないが、フロー図で表現してもよい。「文書」とは、紙ベースばかりでなく、写真、ビデオテープ、LAN上の電子文書、現物見本も含まれることに留意すること。いづれの文書でも以下のような手順で管理される必要がある。管理の対象となる文書(たとえば、品質マニュアル、品質マニュアルの関連文書、作業指示書、外部で作成された文書など)を列挙するとよい。品質記録は、次項の規定によって管理されること。
• 文書を承認する
• 一定の期間が過ぎたら見直しを行い、必要ならば改訂する
• 改訂された内容が何かがわかるようにし、最新版の文書であることがわかるようにする
• 必要な文書が使われる場所に配布され入手可能とする 。(小規模企業ではパソコンにすべての文書を統合させればこのようなことは簡単となる)
• 文書は読みやすく、識別できること(上記の注意を参照)
• 外部文書(例:顧客の仕様書や図面など)は識別され、その配布は管理されること。
• 期限が過ぎたような無効の文書が使われることを防止すること
この手順は変えられないので例文をそのまま利用すればよいが、自分の言葉に変える必要がある場合もある。
4.2.2 品質記録の管理
企業が品質マネジメントシステムを運営していることを証拠付けすること、すなわちシステムの適合性を証明するための記録を品質記録という。どれが品質記録になるかは規格に示され、これらが最低限の記録となる。それ以外に自社にとって必要と決めた記録を含めることは自由である。品質記録は何かを示すために一覧表を品質マニュアルに記載することを推奨する。参照文書として、別の一覧表を作るとしてもよい。
この品質記録の管理に関する手順も文書化の対象である。手順には、品質記録の識別、保管、保護、取り出し、保管期間、廃棄の取り決めが含まれる。
文書の管理の一部として手順を決めることも可能であるが、別個の手順として決めることを推奨する。
5.0 経営者の責任
5.1 経営者のコミットメント
この要求事項には、以下のような宣言文を作るしかない。
• 経営責任者のトップは、以下のことにより品質マネジメントシステムの構築と実行、そしてその継続的改善の実施を支持している証拠を提供する。
• 顧客のみならず、法令、および規制上の要求事項を充足することの重要性を以下のような手段によって組織全体にコミュニケートする:
一般的な事項や製品に特化したトレーニング
多くの人々が見ることができる施設のどこかに掲示
定期的なコミュニケーション会議
特に強調する必要のある場合には文書で通知
この要求事項についての解釈は、これをどのように行うか、どの程度の重要性をおくか、どれほど真剣に社員から取り入れるつもりなのかを考えて決めることで企業の実態によって大きく異なる。
• 品質方針を策定する(「品質方針」の項を参照)
このように宣言すればよいだけだが、具体的な品質方針の策定では社員の意見を取り入れると、現実性のない内容にならない。
• 品質目標の策定が確実に実行される(「品質目標」の項を参照)
これをどのように行うかであるが、経営計画から派生させるのが最も望ましい。
• マネジメントレビューを実施する
目標設定とそのレビューはより重要となったので、マネジメントレビューの位置づけが強くなった。
• 経営資源の提供を確かとする。特に、欠陥の根本的原因となるような人的資源や設備の確保に努める。
5.2 顧客重視
経営責任者のトップは、当該品質マニュアルに記述されている「顧客関連のプロセス」および「モニタリングおよび測定」を実行することを通じて顧客満足を向上させるために、顧客の要求内容を明確としその充足を確実にする。
この要求事項は、具体的な活動の手順を求めていない。顧客志向の経営姿勢を宣言すればよいだけである。品質マニュアルの文言も規格の文言から大幅に変える必要もないが、下に別の文言の事例を示す。自社の顧客と社内実態を反映した文言を作成すればよい。
経営責任者のトップは、当該品質マニュアルに記載されている「顧客関連のプロセス」を通じて顧客の要求事項を明確にすることに努め、顧客要求事項の充足が定常的に行われるために必要なる環境を確保する。顧客満足を定期的に評価することにより、顧客満足を高め最高の満足に達するべく製品品質のみならず提供するサービスを含めた業務のプロセスを継続的に改善する。そのために、経営責任者のトップは、当該品質マニュアルの次項に示すように品質方針、品質目標および目標達成のための計画を策定し、レビューする。
5.3 品質方針
経営責任者のトップは、以下の事柄を深く考慮し品質方針を策定する。:
• 当社の目標に適切であること
• 品質方針には要求事項への適合性および品質マネジメントシステムの効果を継続的に改善することに対するコミットメントを含めること
• 品質目標の策定およびそのレビューに関するフレームワークを規定すること
• 品質方針が品質目標に対し適切であるかどうかをレビューすること
その上で出来上がった品質方針を次のように品質マニュアルに記載する。
当社の品質方針は、以下のとおりである。
(ここに品質方針を記入し、経営者のサインと日付を入れる)
品質方針は全社で理解されるように口頭で伝達するだけでなく社内掲示板などに掲示される。社員には、この品質方針の求めている内容を充たすような行動が期待されている。
当該品質方針は、年一回レビューされる。よって、方針が変更されることもありうるので、その配布は管理される。
品質方針は、重要な要素となっているので、軽く見ないほうがよい。くれぐれも「スローガン」にしないこと。
5.4 計画
5.4.1 品質目標
経営責任者のトップは、品質方針と整合した品質目標を策定し、各部門あるいは部署ごとに目標が展開されることが確実に行われるようにする。これらの目標は、測定を可能とさせるためにできうる限り数値を用いること。少なくとも達成度が評価できる目標であること。
目標は事業計画と合わせることが望ましい。もちろん定期的に評価をレビューし、作り直すこともありうること。但し、二三人の社員しかいない小規模企業では、展開させることが無意味ならば全社の目標だけでもよい。それ以上の規模であっても、一段階だけ展開させることでもよい。規格は、何段階までなどとは要求していない。.
5.4.2 品質マネジメントシステムの計画
経営責任者のトップは、お客様の要求している内容を充たすことが確実にできるように業務実施手順を計画し、当社の品質方針を達成するために品質マネジメントシステムとして構築し、当該品質マニュアルに記載する。
当社の組織、主要施設あるいは事業戦略上で顕著な変化が発生し品質マネジメントシステムの変更を要する場合には、当該品質マネジメントシステムの根幹を壊すことなくその一致性を重要視する。
わかりにくい要求事項であるが、小規模企業では、品質マネジメントシステムが構築された時点でこの要求事項は充たされたと云える。品質マネジメントシステムの構築そのものが「品質マネジメントシステムの計画作成」であるからだ。ただし、企業組織や施設の大きな変化があったとき、あるいは製品やサービスの内容が変わり事業のやり方を大きく変更する必要性ができたならば、品質マネジメントシステムが規格の要求事項と違う形にならないようにするという意思を示すことは必要である。
5.5 責任、権限およびコミュニケーション
5.5.1 責任と権限
経営責任者のトップは、品質マネジメントシステムに関連する部門・部署およびその長の責任と権限を明らかにし、全社に伝達するために下記のとおり当該品質マニュアルに記載する。
(部門長 部門長の責任と権限を示す一覧表のここに入れる)
このようなやり方が一般的ではあるが、4.1 一般的要求事項で作成した部門のつながりを示すフロー図を使い責任と権限を簡単に記入することもよい。あるいは、業務の流れと担当部門を一覧できる図を作成hしてもよい。
業務担当者など部門長以外の責任と権限が品質マネジメントシステムの運営に必要となる場合には、別途業務記述書を作成するか、あるいは作業指示書に担当者の責任と権限を記載することもある。
5.5.2 管理責任者
専務は、経営責任者のトップによって管理責任者として任命される。管理責任者の責務は、以下のとおりである。
• ISO9001:2000の要求事項に沿って構築された品質マネジメントシステムの実施と維持管理を監督する
• 品質マネジメントシステムの成果とその改善の必要性を経営者のトップに報告する
• 顧客が要求していることは何かを社内全体で理解されように社員の認識を高める
5.5.3 内部コミュニケーション
経営責任者のトップは、品質マネジメントシステムの成果を示すデータを以下の方法で社員に示す。
• 毎月の実績を各部門に掲示する
• コンピュータネットワーク上のデータをリアルタイムに流す
• 是正処置および予防処置の実施状況をコンピュータネットワークに開示し誰でもが見ることができる
ネットワークを利用した事例を示したが、小規模企業では事務所に掲示することでもよい。方法は問われていない。
5.6 マネジメントレビュー
5.6.1 概要
品質マネジメントシステムが適切でありそのまま使ってよいか、あるいは妥当で効果的であるかどうかを確認するために、経営責任者のトップは定められた間隔(原則として年二回)で品質マネジメントシステムをレビューする。このレビューでは、品質方針および品質目標の調整や変更の余地があるかが含まれる。これらのレビューの記録は記録の管理手順にしたがって維持管理される。
レビューをどの程度の頻度で行うかの決まりはない。しかし、事例のように年二回行うと決めたならば、なぜ二回でよいのかの理由を監査機関に説明できるようにするべきである。たとえば、事業業績の見直しが年二回行われ、事業の性質や顧客の性格からそれほど多くの頻度は必要ないなどである。事業の見直しは四半期ごとに行う習慣が望ましいと著者は思う。
5.6.2 レビューへのインプット
マネジメントレビューへのインプットには、以下の事項に関する情報が含まれる。
• 監査の結果
• 顧客苦情を含む顧客からのフィードバック
• 製造工程の実績および製品の適合性(合格率、不良発生率など)
• 予防処置および是正処置の状況(処置の効果、未処置数など)
• 前回のレビュー会議で決定したアクションの状況
• 品質マネジメントシステムに何らかの影響を与える可能性のある変化(経営環境や顧客の変化など)
• 改善を要する余地の有無、あるならば何か
5.6.3 レビューのアウトプット
マネジメントレビューからのアウトプットには、以下の事項に関する決定およびアクションが含まれる。
• 品質マネジメントシステムの効果を高めるための改善、および業務プロセスの改善
• サービスを含む顧客の要望や要求事項に関連した製品の改良
• 経営資源に関するニーズとその維持
マネジメントレビューの行い方やその結果について監査機関の監査員が詳しく聞き出すような行動がとられる。
6.0 資源の運営管理
6.1 資源の提供
当社は、以下の事柄を実行するために経営資源を決定し、提供する。すなわち、
・品質マネジメントシステムを実行し、維持管理し、さらにその効果を継続的に改善する
ただ単に品質マネジメントシステムを採用し担当者に任せるということではなく、絶えずその改善に努める意味を持っている。システムというものは出来上がったときには、すでに不十分であり、市場が自分を受け入れていると考えることは間違いであると心すべきである。
・顧客の要望や要求内容を充たすことを通じて顧客満足を向上させる
何度も出てくる文言であるが、この意味は企業側が自由に選択できる。たとえば、顧客が欲しい望むものを作り供給するという単純なものから、市場は何を求めているかを本当に理解するために大々的な市場調査を行うまで範囲は広い。小規模企業の場合は、顧客の仕様や規格に合った製品を決まった納期に納めるということでよい場合が多い。
6.2 人的資源
6.2.1 共通事項
品質に影響を与える業務を実行する要員は、適切な教育、トレーニング、技能および経験に基づく業務実行の能力を有していなければならない。教育、トレーニング、技能および経験に関する必要要件は、部門長や監督者によって決定される。また、各要員の業務実行能力の判定は部門長や監督者によって行われ、可能なる場合には事前テスト、あるいは臨時的配置・配転によって決定される。
小規模企業では、実態に沿った能力決定を行えばよい。たとえば、トレーニングには、10分間の現場説明やビデオを見せるなども充分対応したことになる。また臨時社員には、試用期間を設けることもよく行われることである。日本の場合には、教育程度が高いのであまり神経質考える必要はない。しかし、能力開発にある程度の投資を考える必要性があると思う。.
6.2.2 能力、認識およびトレーニング
当社は、以下の事項を行う。すなわち、
• 要員の能力を明確にする
• これらのニーズを充足させるためのトレーニングを実施する
•トレーニングの効果を評価する
•要員が彼ら自身の業務活動の他の部門との関連性と品質目標にどのように貢献しているかの認識を持つようにさせる
•上記のことが実施されたことを示す記録を残す
規格の文言をそのまま使っているが、実際にどのように実行するかを決めるならば、以下のような文面となる。これほど具体的なシステムの記述は、小規模企業では採用できないとは思うが、これらの中間、もしくは組み合わせを実態に合わせて採用すればよかろう。
部門長あるいは監督者は、品質マネジメントシステムの採用によって派生した業務プロセスを実行するために必要な能力を明らかにする責務を有する。必要なる能力を得るためにトレーニングが求められるならば、以下の一つ、あるいは複数のことを実行する。すなわち、
•訓練コース(内部または外部の)に出席させる
•監督者の指導によるオンザジョッブ・トレーニングを実施する
•人材教育訓練コースの計画を立案し、適切な要員を決定し、コースに参加させる
•必要なる場合には、必要となる能力開発のために上記以外の適切な処置を講じ、その効果を評価する。効果の評価には、以下のような方法があり、一つ、あるいは複数を使う。
• 訓練コースで使われた資料についてのテストを行う
• 監督者による現場での確認テストを行う
• 外部の訓練コースの終了書と評価報告を入手する
•作業を実際に行わせトレーニング前後の結果を測定する
• 新規採用者の業績のモニタリングとレビューを行う
•継続的改善に対する貢献度を測定する
各部門の品質目標の策定には、目標に対する認識を高めるために部門に属する社員を参加させる。個々の目標に対して誰がどの程度責任を有しているかを認識させる。各月の目標達成度は各部門の掲示板に貼付する。
部門長あるいは監督者は、教育、トレーニング、技能および経験に関する記録を維持管理する責務を有する。
6.3 インフラストラクチャー
当社は、以下の事項を含め製品要求事項に対して適合させるために必要となるインフラストラクチャーを明らかとし、提供し、維持管理する。
•建物、作業場所、および関連施設
•製造設備、ハードウエアおよびソフトウエアの双方
• コミュニケーションや保守管理のような支援サービス
規格の文言をそのまま使っているが、以下のような文面とすることもできる。.
現行の製品やサービス提供に使用されているインフラストラクチャーに大きな変更を加える必要性が生じた場合、あるいは安全上や職場環境の改善が必要なる場合には、経営責任者のトップは、適切な措置を計画し、資金面を配慮してできうる改善策を講じる。
6.4 作業環境
当社は、種々の側面に亘って作業環境に配慮し、対処する。特に、製品要求事項への適合性を確保するために以下の事項に関連する作業環境を整備する。すなわち、
•建物、空調設備を含む施設および設備
•健康および安全性
•整理・整頓・清掃
この要求事項では、文書としての証拠が求められていない。小規模企業では現状維持に努めるか、職場改善の一環として3S活動を実施することが望まれる。
7.0 製品の実現
7.1 製品実現の計画作成
製造部長もしくは製造担当者は、製品の実現(業種によっては、製造、制作などと表現する方がよい場合がある)に必要な手順と情報を決める。手順と情報には、適用できる場合、以下の事項が含まれる。すなわち、
• 個々の製品、あるいは種類別の品質目標および要求事項(製品規格や製品仕様であり、顧客の要求事項に等しい場合もある)
• 製造工程や手順の文書化(QC工程表や建設施工計画書など)、および要求事項を充たすために必要となる施設や設備などの資源の必要性の有無の取り決め
何から何まで記載したマニュアルは必要ないことに留意すること。何らかの書類が使われているならば、それをこれに対応させる。たとえば、作業指示書など。
• 製品に特定される検証、妥当性確認、モニタリング、検査・試験、および製品の合否判定基準
顧客へ出荷する前に行うチェックと考えればよい。また、工程内でのチェックが行われているならば、そのチェック内容と合否判定の基準など検査チェックリストが一般的に用いられている。
• 上記の事項が実行され、要求事項に適合していることを証明するための記録
一般的に品質計画書と表現されているもので、どのように製造し、管理基準などの目標を設定し、製品規格として文書化し、検査・測定した結果を改善の道具として用いることを「計画」と称している。なお、ソフト産業や建築設計などの業種では、「設計・開発」の要求事項だけを適用することでこの要求事項を充たすことができる。
7.2 顧客関連のプロセス
7.2.1 製品に関わる要求事項の明確化
販売担当者は、顧客と当社の間を受け持つ重大な役割を持ち、新製品の場合には製品開発の出発点であると認識し、顧客が製品に要求する内容のすべてを完全に明確にするように以下の事項をよく確かめる必要がある。
• 顧客が要求する製品の仕様内容(使用温度・湿度条件、寸法精度など)
• 顧客は言葉ではっきりと明示していないが、製品を使う上で必要なる事項、たとえば耐久性や安全性など
• もしあるならば、法令や規制に関わる要求事項(PL法に基づく警告ラベルの貼付、消防法による危険物表示など)
• 納期、包装、支援サービス、環境保護上の要件、輸出先地などその他の要求事項
これは旧規格の「契約内容の確認」に相当するが、以下の要求事項が続くようにいっそう強化されたと解釈すること。また、顧客の要求内容をどの程度深く理解受するかは企業の自由である。しかし、本当の顧客要求を理解していないがためにビジネスを阻害していることが多い小規模企業があることは認識すべきである。営業担当者の「質向上」を求めるならば、ここできちんとした決まりを作っておくことが望ましい。
7.2.2 製品に関わる要求事項のレビュー
新製品の場合には、販売部長および製造部長は、顧客に当社が供給できることを確約する前に顧客が要求する内容をレビューする。また、以下の事柄を明確にする。すなわち、
• 製品に求められた仕様等の内容
• 顧客の要求事項が口頭で伝えられた場合には、その内容が明確になっていること
• 見積書を提出した後に要求された内容
• 当社がこれらの要求内容を充たすことができること
販売部長は、上記に関する記録を維持管理する。また、もしも顧客が文章をもって要求内容を提出していない場合には、内容を書面をもって顧客と確認する。
製品仕様および契約や注文内容が変更された場合には、変更内容について周知させるために販売部長が関係する担当者に連絡・調整する。
なお、当該手順は、すでに量産品として販売され製品には適用しない。
7.2.3 顧客とのコミュニケーション
当社は、以下の事項に関して顧客と密なるコミュニケーションを保つために直接訪問のみならず、印刷物、通信・インターネット技術の利用などを行う。
• 製品の情報(製品カタログ、ホームページなどによる情報提供)
• 取引の引き合い、契約、注文の取り扱い(変更を含む)
• フィードバック(顧客訪問報告書などによる)および苦情
なお、顧客苦情は、是正処置ないしは予防処置の手順に従って適切に処置する。
小規模企業では、すでに何らかの方法でこれらを行っているはずであるからそれ以上を行う必要性はない。しかし、製品の情報や苦情などは、インターネット技術を利用すれば低コストで対応できる。もちろん、従来どおり、直接訪問や電話・メールで対応することもなんら問題はない。要点は、顧客に対して十分な情報を提供し、苦情だけでなくよいフィードバックを受取ることができる体制を作ることである。
7.3 設計・開発
単純な規格品を生産するだけのような小規模企業では、除外することができる要求事項の一つである。
以下の事例は、機械部品の製造業を想定して作成されている。製品やサービスの内容が異なると文言が大きく異なる可能性があることに留意すること。この程度の文言を品質マニュアルに記載すればよい。
7.3.1 設計・開発の計画作成
開発部長は、新製品を開発するための計画を作成し、開発が予定通り完成するように管理・監督する責務を有する。開発部長あるいは開発担当者は、以下の事項を定めた開発計画を作成する。すなわち、
• 新製品の開発管理が効果的に行えるよう開発のステージの構成を決める。各段階での開発活動の実行責任者とその責務の内容と権限を定める。
• 開発途中であっても開発の結果を何時、何を、誰とレビューするかを事前に決める
• どのような検証を行うかを決める
• 妥当性確認のための自社内のテスト、あるいは顧客による試用テストは何かを決める
• 開発の結果を含め進捗状況は、他の関連する部門にも報告書により連絡・報告される。必要なる場合には、他部門を含めレビュー会議への出席者を決め、会議報告書の配布先も決める。
7.3.2 設計・開発へのインプット
開発担当者は、以下の事項を含め開発のためのインプット情報を明確にする。すなわち、
• 顧客からのインプットから導かれる機能上および性能面での要求事項
• 必要なる場合には、法令・法的規制上の要求事項
• 以前に行われ、類似の開発で作成された情報または経験内容の中から有用なるもの
• その他の要求事項
必要なインプット情報を記載した文書作成を完成させる前に、不完全で、曖昧で、矛盾する要求事項がある場合には、その解決を行うこと。インプット情報は記録し、維持管理すること。
7.3.3 設計・開発へのアウトプット
開発担当者は、インプット情報から新製品の開発目標を開発のアウトプットとして整理する。開発目標には、以下の事項を含むこと。
•試作品が設計・開発のインプットとして与えられた要求事項を充たす
•購買する材料と部品を明確にし、製造上の注意点、および提供するサービスの内容などの情報を含む
• 製品の合否判定基準
•試作品の特性、および安全性の観点から製品の使用に当っての注意点
•必要ならば、さらに行われるべき開発活動
開発目標は開発部長によって承認された後、発行・配布されること。
7.3.4 設計・開発のレビュー
新製品の開発活動が途上であっても、「設計・開発の計画」に基づいて設計・開発のレビューを適時に行う。レビューでは、試作品が開発目標を充たしているかを検討する。検討・討議の結果開発目標が充たされたと確認された場合には、次項の検証および妥当性確認を実施する。
もし開発目標が満たされていない場合には、予測される問題点とその解決策は何か、あるいは開発目標や技術上の変更・調整すべきアクションは何かを討議する。
また、レビューでは、以下の検証、妥当性確認が一部実施されているかを含め開発段階のどこまでいま来ているかを明確にすることも確認される。
討議された内容は記録、維持管理される。
7.3.5 設計・開発の検証
開発目標が充たされたとしも、新製品が開発インプット条件である機能上および性能面での要求事項をすべて充たしているかが検証されていない場合には、追加的に開発の検証活動を行う。検証活動によって得られた結果は、記録され、維持管理される。
単純な機械部品のような開発では、開発活動の過程でテストや試験を行っているので、事例のような別途の検証を実施することは必要がない場合が多いと考えられる。
7.3.5 設計・開発の妥当性確認
開発目標を達成できた試作品が検証結果によって設計・開発へのインプットがすべて充たされたことが確認された後で、製品の使用上、機能・性能面で妥当であることを確認する活動を実施する。当社における開発の妥当性確認は、試作品を顧客(二社以上)に貸与し、顧客が実際に使用して試作品の使用上、機能上および性能面での問題点がないかを確認する行為をいう。
顧客によって試作品にはなんらの問題点がないことが確認された後、製品として顧客に販売される。当該妥当性確認の結果は、文書に記録され、維持管理される。
事例で理解できるように、業種や顧客の種類によってこの妥当性確認のやり方が大きく異なる。たとえば、試作品の食品を特定の社員によって試食させることを妥当性確認とすることも一つである。
7.3.5 設計・開発の変更管理
顧客からの要望や指示によって、あるいは自社の判断によって設計上の変更を要する場合には、開発部長によってその変更内容はレビューされる。開発部長は、変更に伴って必要となる処置を決定する。実施すべき処置には、以下の事柄が含まれる。
•必要なる場合、検証および妥当性確認の再実施
• 製品に使われる部品の変更による影響の評価
•すでに顧客に納入した製品への影響の評価
変更内容、および変更に伴って実施した内容は記録され、維持管理される。
7.4 購買
7.4.1 購買プロセス
当社は、要求事項に適合している購買品およびサービスを間違いなく入手するために購買プロセスを管理する。ただし、管理の程度は、最終製品の品質に与える影響を勘案して決める。開発者は、技術的に適切と思われる資材・部品の供給者の候補を提示するが、最終承認は、以下の手順に従って行われた供給者の評価を行って結果に基づいて決定される。
•供給者の選択は、供給者の能力、品質システム、および品質保証システムをスコアで判定する組織立った手法を用いて決定される。
•初回供給者の承認基準、および継続的な購入先としての認定条件を定める
•購入先として認定された供給者のリストを作成し、納入実績はモニタリングされる
上記の手順の適用程度は、購買する材料・部品・サービスが製品実現のプロセスに与える影響度によって強化されうる。一方、国内もしくは国外での有名企業で品質上の信頼性が高い供給者に関しては、当該供給者の選定のための評価を実施しない。
7.4.2 購買情報
資材やサービスなど購買品を必要とする社員は、必要なる場合には承認を受けた後、購買情報として、以下の適用できる事項を注文書に明記する。すなわち、
• 注文する製品もしくはサービスの正確な識別(製品名、器具名、業務内容など)
• 資格を必要とする業務サービス場合には、その特定する資格の内容
• 当社が受入れるために必ず必要な仕様、図面、規格、あるいは法令・規制
• 特定の設備
• 品質マネジメントシステムの必要性
注文書は、購買担当者によって発行され、注文を実行する前に購買する物品もしくはサービスの内容が適切に明記されていることを確認する。必要なる場合(たとえば、高額な購買品など)、社長の承認を受けた後、購入先に連絡し、注文書を送付する。
7.4.3 購買品の検証
購買品または購買したサービスの検証が必要な場合には、それぞれの購買依頼者によって作成された購買依頼書に検証方法が記入される。購買依頼書に記入する検証方法は、購買品を厳しく選別する必要性や供給者の過去の納入実績を勘案して決められる。
品質確保のために受入れ検査を実施しなければならない重要な資材の受け入れ判定基準は、以下のいずれか、もしくは組み合わせで決められる。
•資材の供給者がISO9001:2000の適合性を証明できること
•検査成績書の検査データをレビューすることで判断可能であること
•受入れ検査の実施を必要とすること
• 顧客自身による資材検査が必要であること
•購買される資材の検査に関する契約によって、当社社員による資材供給者での直接検査、あるいは顧客の直接検査が必要であると定められている場合には、資材が搬出される前の事前検査に関する詳細を購買契約書に記載すること。
購買管理の対象はその資材やサービスが製品に与える影響度合いが高いものに限ることができる。特に、小規模企業では資材を国内外の有名大企業から購入する場合が多い。これらが供給者である場合に供給者の選定評価を行うなどは不必要である場合には、実施しないと決めればよい。まして、受け入れ検査を行うよりは、供給者側の試験結果を信頼するのが得策となろう。一方、大企業はサプライチェーンマネジメントを採用し、受け入れ検査を省略するために品質マネジメントシステムの認証取得を供給者に要求している。この傾向はますます強くなると予測されている。小規模企業の対応が急がされているともいえる。
7.5 生産およびサービスの提供
7.5.1 生産およびサービス提供の管理
当社の生産活動は、以下の事項から適用できるものを選び定めることにより管理された条件下で実行される。すなわち、
• 製品の図面および仕様書を容易に閲覧できること
• 必要な作業指示書を容易に閲覧できること
• 使用する設備が生産に適切しているかを決めること(もしも設備の適切であるかどうかが不確実ならば、日常管理の手順もしくは機器の校正手順にしたがって整備する)
• 特定の測定器およびモニタリング機器が利用可能であること
• 工程内検査チェックリストに記載されたサンプリングによってモニタリングおよび測定活動を実行する
• 工程内検査により不合格と判定された場合には、不適合製品の管理手順に従って処置する
• 作業指示書に記載された出荷検査を実施し、出荷可能であることが確認される
• 出荷後の機械部品の設置が必要なる場合には、 現地作業指示書にしたがって作業を行うこと
7.5.2 生産およびサービス提供のためのプロセスの妥当性確認
当社は、最終製品を検査もしくはモニタリングによって検証できない場合には(製品の欠陥が出荷後のみに発見できる、あるいは検査には高額な費用が必要であるなど)、品質上の目標精度を確保するために生産工程の妥当性を確認する。このような生産工程の能力についての妥当性が確認されたとみなされることを証明するためには、以下のいずれか、もしくは組み合わせが実施・適用される。すなわち、
• 最初一個目の製品について以下のいずれか、もしくは複数の組み合わせを実施し妥当性確認を行う
• 製品の特性を計測
• 破壊試験
•信頼性および認定試験
• 最初一個目の製品の妥当性確認の承認、校正状態、ないしは日常管理の状況を判断し、設備そのものに妥当性があると承認を行う。
• 作業員のトレーニングを実施し、特定の技能に対する資格認定を行う
必要とされる記録を定め、記録を作成し、維持管理される。生産工程の妥当性確認を再度実施する必要性がある場合には、その旨が製品の仕様書または作業指示書に記載される。
小規模企業では、この妥当性確認を利用する場合が多くあると思われる。 経験の長い監督的立場の先輩が朝一番に設備の条件出しを行いその後の製品は検査を行わない、あるいは作業員に一定の経験があるならば資格を認定し検査を行わないなどである。
7.5.3 識別およびトレーサビリティ
購入された資材、あるいは加工中の製品、あるいは未完成の製品が間違って使用されることを防止するために、製品の識別を行う。特に、出荷検査未了の製品が顧客に納入されないように「未検査品」の表示を行う。
個別識別をもってトレーサビリティを確保することは、顧客の要求事項である場合、もしくは法令によって定められた場合、もしくは当社が賢明な手段であると判断した場合に限って実施する。製品の個別識別は工程内、出荷検査時、および出荷後において管理され、記録される。個別識別を要する製品には、その旨が製品仕様書に記載される。
7.5.4 顧客所有物
小規模企業では、部品、資材あるいは試験機器を顧客から支給されることはないだろうからこの要求事項は適用を除外することになろう。
当社は、現時点では顧客から支給された部品、資材あるいは試験機器は保有していないが、顧客の所有物を当社が受取り、自社内で管理する義務が生じた場合を想定し以下を定める。
• 顧客所有物には適切なる識別を行い、資材と同様に注意して取り扱い、破損、紛失を防止するとともに在庫管理品として記録を管理する
•もし破損させたり紛失した場合には、顧客に通知する
顧客所有物には、顧客に返却を要する製品図面・仕様書、会議議事録など知的所有物も含まれることもある。ただし、返却を必要としない図面・仕様書などはこれに該当しないので注意したい。
7.5.5 製品の保存
当社は、生産から納品時に至るまでの製品および部品を適切に保存する。保存のためには、識別(製品名、製品番号、ロット番号、製造年月日など)、取り扱い、包装、保管、保護を適切に行う。取り扱い、包装、保管などに関して特別な注意事項がある場合には、その内容を製品仕様書に記載する。
小規模企業では、通常この程度内容で充分であろう。以下は、特別な製品で顧客との契約である場合のことであり、必ずしも記載しなくともよい。
製品の品質劣化なしに製品の納入義務があることが顧客との契約で定められている場合には、過去の納入実績で証明された優秀なる運送会社を選択し、製品の納入を行う。
7.6 モニタリングおよび測定機器の管理
測定すべき検査項目、また必要なモニタリング機器と測定機器が製品仕様書、もしくは作業指示書に記載される。機器の測定能力の信頼性を維持するために、以下の事項の中で適用できるものを実施する。すなわち、
• 特定された間隔で、もしくは使用する前に、国際・国家基準器に対して校正する
• もしこのような基準器がない場合には、どのような方法で機器が正しい事を検証したかを記録する(たとえば、測定値の判明している標準サンプルまたは二次標準器を使って測定し、X-R管理図に記入することなど)
• 必要に応じて調整する
• 校正状態の識別表示(校正頻度、前回の校正年月と次回の校正日など)を行う
• 機器が不正に調整されないように保護する
• 機器の取り扱い中、あるいは保管中に損傷・劣化しないように保護する
• 校正結果は記録し、維持管理する
校正によって、あるいは二次標準器による測定値が異常を示し機器の精度が正しくないことが判明した時には、前回校正された以降に行われた測定値が妥当であるかを評価し、影響を受けた製品に関して適切な措置を行う。これらの措置に関しては記録する。
コンピュータソフトがモニタリング機器および測定機器に組み込まれている場合には、機器の使用前にその性能が正常であることを確認し、必要なる場合には再確認を行う。
機器の校正は、外部機関によって行われることもあるが自社で二次サンプルや基準器を作成し、日常的に管理すればコスト削減につながる。一年一回と単純に決めるのではなく本当に精度を保つにはどの程度の頻度で校正すればよいのかを確かめるべきである。使用頻度や機器の種類を考慮して過度な頻度で校正することのないように留意すべきである。
8.0 測定、分析および改善
8.1 概要
当社は、持続的な成長を維持するために効果的な測定を行い、効率的にデータを収集し、データの分析による事実に基づく意志決定を行う。対象となるデータには、製品の要求事項への適合性、業務プロセスの能力、品質目標に対する達成度、顧客満足など広範囲である。収集されたデータは、適切な統計的手法を適用し、有意な分析を行う。分析結果に基づき製品品質を維持し、品質マネージメント・システムに定められた業務プロセスを継続的に改善する。継続的なプロセスの改善活動により学んだ事実や事象は、当該品質マネージメント・システムの成熟度を高めるために適用される。
必要なる測定、分析および改善活動の手順は、本章において以下のように定められる。
• 製品の適合性を実証するために製品のモニタリングおよび測定に関する8.2.4項および8.4項のデータ分析
• 品質マネジメント・システムの適合性に関して8.2.2項の内部監査の実施
• 品質マネジメント・システムの有効性を継続的に改善するために8.5.1項の継続的改善に関する手順
なお、データの分析、プロセス管理、プロセスの能力測定、製品特性の検証に必要となる統計的手法は、管理責任者によって、その種類、適用範囲、また使用の程度が明確とされる。
小規模企業の場合には、このような大げさなことを行うことは必要ない。単に、以下の規格の要求事項を充たす程度のことを行えばよい。
8.2 モニタリングおよび測定
8.2.1 顧客満足
当社の品質マネジメントシステムが顧客満足を向上させる上で有効に機能しているかを知るための一つは、当社が顧客の要求内容を充たしているかどうかについての顧客の受け止め方を測定することである。この目的のために、当社は、顧客満足および不満足について知ることができる情報およびデータを定期的に収集し、分析する。これらの情報やデータをどの程度の頻度で収集し、そのデータ分析の手段に関してはマネジメントレビューでの討議をもって決定する。
この要求事項は、小規模企業にとって困難だし、コスト面で大きな負担となると思うかもしれないが、規格はどのようなやり方であっても許されている。したがって、単純に顧客の意見を口頭で集めることから始め、ある程度の経験を積んだ後で少し緻密な調査を行う方法に転換するのがのぞましい。顧客満足の測定でもっとも注意しなくてはならないことは、「瞬間風速」または「一点の測定」ではなく径時変化をモニターすることである。でなければ、正しい結論を得ることが難しい。
8.2.2 内部監査
手順書の作成が要求されている。以下は、その事例であるが、規格の要求事項を満たねばならないからほとんど変えることはできない。
当社は、品質マネジメント・システムがISO9001:2000の要求事項に適合し、適切に運営され、業務プロセスが製品品質とサービス提供に効果的に運営・維持されているかを確認するために内部監査を実施する。毎年一回、品質マネージメント・システムを全面的に監査しなければならい。以下の監査手順は、実施および監査結果の報告を含め、その適用範囲、頻度、手法を記述する。
a)内部監査は、管理責任者が作成した年間スケジュールしたがってに実施される。単年度ですべての業務や部署が監査されるのではなく、個々の活動の状況と重要性、および前回の監査結果に基づいて年間スケジュールが作成される。
b)内部監査は、 一人の主任監査員が任命され、2名の複数のチ-ムにより行われる。内部監査員は、監査される部署もしくは活動からの独立性が保たれなくてはならない。
c)内部監査員の資格は、外部機関による研修終了者、もしくは研修修了者による内部研修終了者に対し管理責任者により認定される。
d)主任監査員は、監査実施日以前に充分なる余裕をもって監査する部署に監査実施日時を通知する。
e)監査員チームは、社長の権限委譲の下に、監査された活動が当該品質マニュアルに記載された品質マネージメント・システム、作業指示書、および参照手順書に適合しているかどうかを明示する客観的な証拠を調べる。
f)客観的な証拠により不適合が判明した場合には、監査部署の責任者とレビューし、不適合な状況を是正する処置が求められる。もし不適合を直ちに是正することが不可能であるならば、是正処置要求書を作成される。
g)監査部署の責任者は、8.5.2項の是正処置の手順にしたがって是正処置を完了するためにできうる限り迅速にその解決の措置を講じる。
h)監査員チームは、内部監査報告書に監査対象となった部署、業務、製品およびプロセスを記述し、是正処置が求められる不適合もしくは欠陥を記入する。
i)管理責任者は、内部監査報告書を審査し、処置が完了した是正処置報告書をチェックすることによって是正処置が実行されたことを検証する。
k)内部監査報告書は、社長,管理責任者、被監査部門長、被監査に配布される。また、品質記録として管理責任者により保管管理され、経営者のレビュー資料として使用される。
8.2.3 プロセスのモニタリングと測定
品質マネジメントシステムに内包される業務プロセスが計画されたとおりの結果を達成する能力を有していることを証明するために適切なるモニタリング手法を採用する。内部監査は、品質マネジメントシステム全体の監査であり、業務プロセスの活動をモニタリングするためには、以下のようなパラメータを測定し、時系列データに編成し傾向分析を行う。たとえば、
• 品質コスト(失敗コスト、予防コスト、評価コストなど)
•業務の正確性を計るために業務指示書などの社内文書や図面への誤記件数、不適切な設計図書の作成数など
•製品納期の遵守度を計るための納期遅れ日数など
•社内スケジュールの遵守度を測るための次工程への引渡し遅れ日数など
•予定外の設備停止時間や設備稼働率
•サイクルタイムや単位時間当たりの処理用(スループット量)
•材料歩留まり
•ユーティリティ原単価
•工程能力指数(Cp,Cpkなど)
• その他定性的な指標の適用
これらの分析によって、計画された結果が得られていないと判定された場合には、是正処置の手順にしたがって適切なる是正処置を講じる。
8.2.3 製品のモニタリングと測定
製品が要求事項に適合していることを確認するために製品の実現プロセスの適切な段階で行う製品の特性についてのモニタリングと測定のプロセス(受入検査、工程内検査、最終出荷検査と合否判定基準、検査結果の記録など)を製品の図面、仕様書あるいは作業指示書に記載する。
要求事項への適合性を実証する証拠として出荷許可(次工程への引渡しを含む)の承認者を含め検査結果は記録される。
顧客による特別な許可が与えられた場合、あるいは不適合製品の出荷に関する特別な権限を有する承認者による許可を得た場合を除き、当社が定めた生産活動のすべてが完了されるまで製品の出荷は行われない。
(以下は、「品質マニュアル事例」を参照してください)