R.MThompson&Associatesの社長、リチャード トンプソン氏の意見
基本と用語集のISO9000を参照すると役立つことがある。このISO9000の3.8.7項では、”確立された目標を達成するために品質マネジメントシステムの適切性、妥当性、および有効性を明らかにする目的で実施される活動”が経営者のレビューであると定義している。この定義によればいかにもISO9001:2000が経営者のレビュープロセスに適切でなければならないように思えてくる。
ISO9001は経営者のレビューを一つのプロセスとして明白にしていないが、それに反対する意見はほとんど見かけない。ISO9000の3.4.項では、”インプットをアウトプットに変換する関連するもしくは相互に作用する活動”がプロセスであると定義している。プロセスが達成する意図が何かを完全に理解するには、そのプロセスの重要な顧客をまず明らかにする必要がある。その場合には、そのプロセスによって顧客が期待しているニーズを充たすことができることも考慮する必要がある。
経営者のレビューの顧客は、組織そのものである。経営者のレビュープロセスのニーズは、組織が確立した目標を充たす面からみた場合の品質マネジメントシステムの適切性、妥当性、有効性に関する正確な情報である。さらに、目標を達成できなかった結果に対処し、修正するための行動の概要が明らかにされていなければならない。最後になるが、全体的な改善に関する推奨事項がまとめられていることだ。
5.1.項(経営者のコミットメント)は、下記する基本的なチャンネルを通じて、システムの構築、実践、改善に向けてのコミットメントの証拠(4.2.4記録)を提示するように要求して経営者の責任に対処している。
1.顧客およびその他のニーズを満たすことの重要性をコミュニケーションすること
2.品質方針を策定すること
3.品質目標が確実に設定されること
4.パフォーマンスは見直されること
5.記録は確実に入手可能であること
規格のすべての要求事項に関連しているデータがきちんと配慮されている保証がなければ、5.1項のd)(経営者のレビュー)を適切に充たすことはできないだろう。これを確かなものにさせるには、経営者のレビューへのインプットとして選択された問題が重要である。このことは、8.4項(データの分析)で強調されている。ここでは、組織に対しデータを収集し、分析し、その上でどこが改善されねばならないかを決めるように求めている。これらの分析と推奨は、経営トップに報告され、レビューを受け、改善のためのアクションを決めるとになる。
5.1項のe)(経営資源)は、経営者に経営資源をいつでも使えるように確実にするよう求めている。これらの(経営資源の配分や確保の)決定は適切に収集されて分析されたデータによって行われる。5.6.3項のc)(資源の必要性)は、資源の問題を切り抜けることを意味するレビューのアウトプットとなる。
5.1項のe)、5.6.3項のc)、および6.1項(資源の提供)は、追加的資源の提供の必要性(を記述している)として解釈できる。一般的には、現有の経営資源を再配分することが問題解決の選択肢になる。
明白に記述されていないが、ISO9000の2.11項(品質マネジメントシステムおよびその他のマネジメントシステム)では、品質マネジメントは組織のその他の目標(成長、財務、利益性、環境、および職業上の健康と安全に関する目標)を補足して完全にするものであるとしている。
私自身の経験では、”どのようにビジネスを運営するのですか?”という質問が、経営者のレビュープロセスでの議論に制限を加えるよりも多くの情報を集めることになり、積極的な会話を進めることができた。
経営者のレビュープロセスに関係するISO9001の規格条項には以下のものがある。
・5.2項 (顧客重視)、7.2.1項、 8.2.1項、 5.6.2項の a) およびb)も参照のこと
・6.1項、 5.6.3項 c)も参照のこと
・8.2.2項、 5.6.2項 a)も参照のこと
・8.2.3項 および 8.2.4項、5.6.2項 c)も参照のこと
・8.3項、. 8.5.2項、 および8.5.3項、5.6.2項 c)も参照のこと
・8.5.1項、 5.6.2項、および5.6.3項 a),b)も参照のこと
多分、8.4項(データの分析)がもっとも重要な要求事項だろう。インプットを必要なアウトプットに効果的に変換することが確実に行われることに情報を結びつける。このアウトプットによって、経営者のレビュープロセスがシステムの適切性と妥当性を確認することができる。
最後になるが、5.6.1項は、システムを計画された間隔で見直しを行うよう経営者トップに要求している。規格は、間隔がどの程度などは規定していない。経営者トップにそれは任されている。ところが、5.6.2項、e)で前回のレビューで決まったアクションのフォローアップを処理するように求めている。いかなる意思決定を行うにあたっても重要な役割を担うのは情報である。よって、経営者のレビューの頻度もしくはその強さをどのように対応するかは自分自身で決定すればよい。
TUV アメリカの副社長、カルビン モールドベーン氏の意見
ISO9001の8.5.1項(継続的改善)は、組織は、経営者のレビュープロセスを含めていくつかのツールやプロセスを利用しながらマネジメントシステムの有効性を継続的に改善するように求めている。
この内容で私たちは効果的で意味のある経営者のレビュープロセスの勢いがどれぐらいあるのかを評価する必要がある。ISO9001:2000の5.6項(経営者のレビュー)の内容だけでなく、継続的改善を推進しているISO9001:2000の全般的なの意図を充たしているかを評価するのが経営者のレビュープロセスである。さらに、5.6.1項は継続的改善とマネジメントシステムの有効性に言及している。また、規格は、マネジメントシステム並びに継続的改善への経営者トップのコミットメント(5.1項)を明示する手段として経営者のレビューを実行することを要求している。
インプットをアウトプットに変えることについてであるが、ISO9001(5.62.1項)には、必要なインプットの中に前回の経営者のレビューで決められたアクションをレビューすることを含めている。しかも、経営者のレビューの必要なアウトプットは特定した決定とアクションである。経営者のレビュープロセスもしくは経営レビュー活動のどちらかによって有効性を追求し、フォローアップすることが容易に行えるようにこれらの決定やアクションを決めることになる。ある場合には、そのようなアウトプット/アクションは正式の是正処置/予防処置の一部になることもある。このように、もう一つのシステムを設けることでフォローアップと効果的な実践を確保している。
最終的には、インプットからアウトプットへの効果的な変換の結果は、ビジネスが向上しているかどうか、顧客満足は改善されているか、全般的なマネジメントシステムの向上が見られるかどうかによって測られる。
ISO9004:2000の5.6.3項では、経営者のレビュープロセスの有効性、ならびにマネジメントシステムの効率をさらに向上させたいと考えている企業が便利に利用できる指針が付け加えられている。この指針は、実際に成功を収めている企業が経営者のレビュープロセスを戦略的な計画作成と運営マネジメントプロセスに統合している実在する世界で見られたものである。