ホーム
ISO9001:2008関連
ISO9004:2009の解説
取得活動を始める前に
経営者のために
ISOmanの品質マニュアル
統合マネジメントシステム
食品業へのシステム導入
社員教育の資料集
ブログ
よくある質問
クリッピング
Funnies and Joke
 
マネジメントレビューあれこれ
 
ISO9001 5.6.2項では、経営者のレビューに関連したインプットについての要求事項がある一方で、5.6.3項ではアウトプットの中身に言及している。規格はどちらの内容が経営者のレビューのプロセスとしてふさわしいとしているか?また、レビューのプロセスを効果的に実行することによってインプットをアウトプットに返還させるわけだが、規格はどの程度のアウトプットを期待しているのか?
 
Quality System Update(Vol 17 No 5 2007)の司会者ですが、この質問に同意したい。ISO9001にはどのように経営者のレビューを行えばよいのかに言及している特定の要求事項はないにもかかわらず、必要なプロセスの側面を強調している要求項目がたくさんある。では、ご意見をよろしくお願いします。
 
(主宰者注:経営者のレビューは、ISO9001品質マネジメントシステムの中でも最も重要な要求事項と考えている。これをまともに実行しないならば、ISO9001認証は返上した方はよいと考える。この中でも述べられているが、監査のために「経営者のレビュー」を行うなどナンセンスである。規格は、経営会議を想定して作成されている。規格の文言を作成した一人であるJim Beglow(私が務めていた会社、エクソンモービル社の元上司で、品質管理プロジェクトの世界の中心人物。早期退職し、アメリカのTC176委員会委員として活躍した。不幸にして肺がんですでに死亡。)がそう言っていた。顧客の満足を高める上で企業の改善点は何か、経営資源は大丈夫か、製品品質の目標はこれでよいのか、企業の存続を危険にさらす潜在的な問題はなにか、社員の意識がなぜ低いのか、株主からの要望や環境に関連する社会的な責任な何か、などなどを討議する会議が「経営者のレビュー」である。そのような考えをしている主宰者を援護する発言を以下に記載する。我佃引水と言われかもしれないが。)
  

 カナダ規格協会の副会長、リチャード ショースネッシー氏の意見

 

経営者のレビューには懸念を持っていることがある。外部監査の直前にレビューを行うようにスケジュールしている企業があることだ。

 

(企業の)機能は(自ら作動するように)内蔵されているという考えを基にしてすべてのシステムは構築されていて、その逆はないということを明確に記憶にとどめてほしい。何が実行されなくてはならないかを(規格文言として)記述すると、いつものことながら「どのように要求事項を充たすのか」という記述よりも好ましいと言われる。しかし、「どうするのか(how)」は、実施する企業の知識と技能に依存するものだとしている(ことを忘れないでほしい)。この討論から出された明らかな結論は、規格全体を通じて包括的な用語を使って、経営者のレビューに対して義務的なプロセスの検証を行い、さらに自分自身で現実的で助けになる答えを引き出すことを規格は暗示的に要求していることだ。

 

DQS カナダ社の監査員・ビジネスアドバイザー、アンディ ホフマンの意見

 

この質問は、ジグソーパズルについての昔のジョークを思い出させてくれた。「このジグソーパズルにはいくつのピースがあるかあなたは知っているかい。」答えたのは「そら全部だよ」だった。ISO9001:2000規格の経営者のレビューに関する要求事項は、それ自身が同じで簡単な答えを引き出しているー”そら全部だよ”っと。

 

経営者というのは組織の努力の結果が成功であったにしても失敗だったとしても、それには全般的な責任がある。だから、システムの中で起こっていることで経営者が気づいていないことなどはありえないことなのだ。もちろん、いくら小規模な組織であっても、経営者がすべてのことを行うことはできない、(だから)コミュニケーションレビューを行う必要性が生まれれてくる。このことが5.6.1項と5.6.3項への対応だと信じていることは確かだ。

 

考え方とかあるいは会話のプロセスとして経営者のレビュー会議にインプットがなくてはならない。そこで、ある種のアウトプットもなくてはならない。”5.6.2項と5.6.3項には、(経営者のレビューに対して)当然のこととして何が期待されているかがやや詳細に記述されているが、今回のこの質問との間に位置していてわけのありそうな不可解なプロセスだ。5.6.1項から一部の答えを得られるかもしれない。”

 

5.6.1項には、”レビューは計画された間隔で実行されるという指示がある。このレビューは、マネジメントシステムが適切で、妥当で、有効であることを確かめるために行われる。”となっている。だから、品質方針と品質目標がそうであるように、必要になった変更はもちろん、システム自体を改善する機会を予定表の一部に組み入れておくべきである。しかしながら、レビュー自体の構成をどうするとか手段を何にするなどは実際の規格にはないのかという疑問がわく。

 

ISO9001:2000の基礎に埋め込まれている原則を思い出してもらいたい。PDCAフレームワークは大変明瞭に文書とされ、規格の0.2章と図1に一番よく描写されている。このダイアフラムは、アクションを起こす責任のある経営者にすべての情報はインプットされることを示している。これらのアクションがレビューのプロセス(5.6.3項)のアウトプットなのだ。しかし、繰り返すことになるが、レビュー自体に関する要求事項の詳細は規格にはない。ISO9001:2000の規格は、経営者がレビューで何をするべきなのかについては沈黙しているのだろうか?もしもそうならば、なぜそれがないのか?この二番目の疑問に対する答えは、最初の疑問への答えになる。

 

ISO9001は、経済的ないしは社会的な活動に携わるいかなる企業にも適用できる。そのような広範囲の実業界や政治組織の経営手法は広く多岐にわたる。ある組織はすべての重要な活動を評価するために定量的な目標を持っている。片や、同じように複雑な業務であるにも関わらず非常に少ない指標やレビューを使って運営しているところもある。

どのように順序立てをおこなえばよいのかためらうことになる。

 

経営手法はこのように非常に広範囲に亘るのだから、レビューを実行するベストな、あるいはより好ましい方法はこうだと規格の要求事項として文書化することは不可能なのだ。どんなに最善の方法だといってもすべての状況でうまく行くとは言えない。だから、規格の利用者や監査員に問題を残すことになる。いいえ、規格の作成者が業界全般にわたる活動をなんとか苦労して作り上げる唯一の方法は、すべてのことを非常に包括的(訳者注:総花的にと言えばいいすぎになる。この規格文書を作った私の元上司がそう言っていた)にするしかないのだ。

 

このように、ISO9001は経営者のレビューを定期的に実施するように要求している。レビューには、会議に適切なインプットを提供し、このプロセスからのアウトプットとしてアクションは何かを明らかにすることが含まれている。コミュニケーションの交換、頻度、文書量、フォローアップについての実際のプロセスをどうするかは、レビューを実行する組織に委ねられている。”一つのサイズですべての問題にぴったりする”ものはレビューのプロセスにはないのだ。

 

 R.MThompson&Associatesの社長、リチャード トンプソン氏の意見

 

 基本と用語集のISO9000を参照すると役立つことがある。このISO9000の3.8.7項では、”確立された目標を達成するために品質マネジメントシステムの適切性、妥当性、および有効性を明らかにする目的で実施される活動”が経営者のレビューであると定義している。この定義によればいかにもISO9001:2000が経営者のレビュープロセスに適切でなければならないように思えてくる。

 

ISO9001は経営者のレビューを一つのプロセスとして明白にしていないが、それに反対する意見はほとんど見かけない。ISO9000の3.4.項では、”インプットをアウトプットに変換する関連するもしくは相互に作用する活動”がプロセスであると定義している。プロセスが達成する意図が何かを完全に理解するには、そのプロセスの重要な顧客をまず明らかにする必要がある。その場合には、そのプロセスによって顧客が期待しているニーズを充たすことができることも考慮する必要がある。

 

経営者のレビューの顧客は、組織そのものである。経営者のレビュープロセスのニーズは、組織が確立した目標を充たす面からみた場合の品質マネジメントシステムの適切性、妥当性、有効性に関する正確な情報である。さらに、目標を達成できなかった結果に対処し、修正するための行動の概要が明らかにされていなければならない。最後になるが、全体的な改善に関する推奨事項がまとめられていることだ。

 

5.1.項(経営者のコミットメント)は、下記する基本的なチャンネルを通じて、システムの構築、実践、改善に向けてのコミットメントの証拠(4.2.4記録)を提示するように要求して経営者の責任に対処している。

 

 1.顧客およびその他のニーズを満たすことの重要性をコミュニケーションすること

 2.品質方針を策定すること

 3.品質目標が確実に設定されること

 4.パフォーマンスは見直されること

 5.記録は確実に入手可能であること

 

規格のすべての要求事項に関連しているデータがきちんと配慮されている保証がなければ、5.1項のd)(経営者のレビュー)を適切に充たすことはできないだろう。これを確かなものにさせるには、経営者のレビューへのインプットとして選択された問題が重要である。このことは、8.4項(データの分析)で強調されている。ここでは、組織に対しデータを収集し、分析し、その上でどこが改善されねばならないかを決めるように求めている。これらの分析と推奨は、経営トップに報告され、レビューを受け、改善のためのアクションを決めるとになる。

 

5.1項のe)(経営資源)は、経営者に経営資源をいつでも使えるように確実にするよう求めている。これらの(経営資源の配分や確保の)決定は適切に収集されて分析されたデータによって行われる。5.6.3項のc)(資源の必要性)は、資源の問題を切り抜けることを意味するレビューのアウトプットとなる。

 

5.1項のe)、5.6.3項のc)、および6.1項(資源の提供)は、追加的資源の提供の必要性(を記述している)として解釈できる。一般的には、現有の経営資源を再配分することが問題解決の選択肢になる。

 

明白に記述されていないが、ISO9000の2.11項(品質マネジメントシステムおよびその他のマネジメントシステム)では、品質マネジメントは組織のその他の目標(成長、財務、利益性、環境、および職業上の健康と安全に関する目標)を補足して完全にするものであるとしている。

 

私自身の経験では、”どのようにビジネスを運営するのですか?”という質問が、経営者のレビュープロセスでの議論に制限を加えるよりも多くの情報を集めることになり、積極的な会話を進めることができた。

 

経営者のレビュープロセスに関係するISO9001の規格条項には以下のものがある。

 

 ・5.2項 (顧客重視)、7.2.1項、 8.2.1項、 5.6.2項の a) およびb)も参照のこと

 ・6.1項、 5.6.3項 c)も参照のこと

 ・8.2.2項、  5.6.2項 a)も参照のこと

 ・8.2.3項 および 8.2.4項、5.6.2項 c)も参照のこと

  ・8.3項、. 8.5.2項、 および8.5.3項、5.6.2項 c)も参照のこと

 ・8.5.1項、 5.6.2項、および5.6.3項 a),b)も参照のこと

多分、8.4項(データの分析)がもっとも重要な要求事項だろう。インプットを必要なアウトプットに効果的に変換することが確実に行われることに情報を結びつける。このアウトプットによって、経営者のレビュープロセスがシステムの適切性と妥当性を確認することができる。

 

最後になるが、5.6.1項は、システムを計画された間隔で見直しを行うよう経営者トップに要求している。規格は、間隔がどの程度などは規定していない。経営者トップにそれは任されている。ところが、5.6.2項、e)で前回のレビューで決まったアクションのフォローアップを処理するように求めている。いかなる意思決定を行うにあたっても重要な役割を担うのは情報である。よって、経営者のレビューの頻度もしくはその強さをどのように対応するかは自分自身で決定すればよい。

 

TUV アメリカの副社長、カルビン モールドベーン氏の意見

 

ISO9001の8.5.1項(継続的改善)は、組織は、経営者のレビュープロセスを含めていくつかのツールやプロセスを利用しながらマネジメントシステムの有効性を継続的に改善するように求めている。

この内容で私たちは効果的で意味のある経営者のレビュープロセスの勢いがどれぐらいあるのかを評価する必要がある。ISO9001:2000の5.6項(経営者のレビュー)の内容だけでなく、継続的改善を推進しているISO9001:2000の全般的なの意図を充たしているかを評価するのが経営者のレビュープロセスである。さらに、5.6.1項は継続的改善とマネジメントシステムの有効性に言及している。また、規格は、マネジメントシステム並びに継続的改善への経営者トップのコミットメント(5.1項)を明示する手段として経営者のレビューを実行することを要求している。

インプットをアウトプットに変えることについてであるが、ISO9001(5.62.1項)には、必要なインプットの中に前回の経営者のレビューで決められたアクションをレビューすることを含めている。しかも、経営者のレビューの必要なアウトプットは特定した決定とアクションである。経営者のレビュープロセスもしくは経営レビュー活動のどちらかによって有効性を追求し、フォローアップすることが容易に行えるようにこれらの決定やアクションを決めることになる。ある場合には、そのようなアウトプット/アクションは正式の是正処置/予防処置の一部になることもある。このように、もう一つのシステムを設けることでフォローアップと効果的な実践を確保している。

最終的には、インプットからアウトプットへの効果的な変換の結果は、ビジネスが向上しているかどうか、顧客満足は改善されているか、全般的なマネジメントシステムの向上が見られるかどうかによって測られる。

ISO9004:2000の5.6.3項では、経営者のレビュープロセスの有効性、ならびにマネジメントシステムの効率をさらに向上させたいと考えている企業が便利に利用できる指針が付け加えられている。この指針は、実際に成功を収めている企業が経営者のレビュープロセスを戦略的な計画作成と運営マネジメントプロセスに統合している実在する世界で見られたものである。