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1 適用範囲

規格の導入部にはあまり関心を持たない人が多いが、規格はぜひ「序文」から読んでいただきたい。重要なことが条文になっているからだ。その一つが「1.2項 適用」である。認証の取得対象の規格がISO9001:2000であるならば適用の除外を規定できる。この適用除外に関してはTC176委員会がガイドラインを発行している。日本規格協会のホームページから日本語訳を入手してほしい。このガイドラインには、除外ができるケースとできないケースを明らかにするためのいろいろな企業の事例が示されている。少なくとも除外を適用することを決めた企業は是非このガイドラインを注意深く読んでほしい。

適用の規格文を読むと分かるが、除外できるのは「7章 製品の実現」の要求事項だけが対象であり、それ以外の「経営者の責任」、「経営資源の管理」、と「測定、分析および改善」の要求事項を除外することはできない。適用の除外を決めた企業は、顧客の理解を混乱させることのないように品質マニュアルで除外をしていることを明示することが必要である。

もしも設計業務を行っていない製造業の企業ならば、考えられる除外は設計・開発の要求事項である。といっても簡単ではない。認証の対象にする製品の範囲によって大きく影響を受ける。たとえば、金型の製造販売会社では金型の設計を外注しているから除外はできないが、プラスチック製品の製造を行っている企業で金型を設計・製作を外部に依頼している場合には除外しても合理性があると判断できることもあるからだ。また、製造設備の設計も要求事項の対象になることもある。このように除外は必ずしも簡単ではないだけでなく、むしろ危険である。リスク管理の観点から経営者は積極的に規格の要求事項を取り込むことを強く推奨する。「備えあれば憂いなし」のごときである。いかなる事態が起こってもシステムがあれば、それにしたがって事を進めることができるからだ。システムがなければ何を何時だれがするのかが分からず右往左往することになる。その事例は日本で最近よく見かけた。システムを持っていても限定的に使うことにしておけばよいだけである。

一方、サービス業では「顧客の所有物」、「識別およびトレーサビリティ」、「モニタリングおよび測定機器の管理」などは除外できる場合が多いので留意したい。同じように小規模企業でもこれらの要求事項を除外できることが多いので品質マネージメント・システムを単純化できるので気をつけたい。

なお、監査機関は除外事項がある場合には、徹底的に監査をして除外の合理性を検証することの合意があることに留意すべきである。
 
序文にもあるが、法令、並びの規制上の要求事項を守ることの重要性が強調されている。近年、多くの日本企業が法的違反を行っていることが報道されている。この国際規格で求められているからでなく、経営者の質の問題だと考える。法を犯して企業を運営できれば無能者でも経営できる。日本企業の経営者の猛省を促したい。