まず、ISO事務局のガイドラインにある指導内容の一部を以下に紹介する。
1. かならず複数のコンサルタントと面談する。 2. 信用度、経験および経歴をチェックして、コンサルタントを慎重に選ぶ。 3. コンサルタントに、認証の対象となる事業活動および目的の全容を確実に理解させる。 4. 企業の業務体制を整える期間を設定し、推進者をだれにするかなどの必要な経営資源を確保する。 5. 結局、自分の企業の品質システムとして運営することになるのだから、コンサルタントにまかせきりにしてはならない。経営者は進捗状況を必ず強い関心を持って把握する必要がある。 6. 製品の品質だけでなくサービスに関して顧客がなにを期待しているかを十分確認する。同時に、現在どのような計画で取得に取り組んでいるかを顧客に説明する。これをくりかえし行って、システムに順次組み入れていく。コンサルタントへの相談をこのときに必要となることもある。
その上でコンサルタントの採用を木俣ならば、まず、現実的なスケジュールを両者で設定することが絶対不可欠である。 当然のことながら、コンサルタントを効果的に活用するには双方の意思疎通を緊密にする必要がある。さらに重要なことは、本当に活用できる品質マネジメントシステムを構築するには一般従業員からのインプットが無ければ出来ない。よって、従業員と一緒に働くぐらいの意気込みを持ったコンサルタントでなければ、構築された品質マネジメントシステムは使い勝手の悪いものになる可能性が高い。また、従業員への教育・訓練の実施をコンサルタントに求める必要も出てくる。これが出来ないコンサルタントは規格の意図を十分に理解するための品質管理の基礎的知識と経験が無い場合があるので、忌避すべきだ。ここでも、コンサルタントの経歴を調査することが重要となる。また、コンサルタントは規格の要求事項を満たすための品質マニュアルを確実に作成することが出来なければならない。その品質マニュアルも単純で容易に理解できるものなっていなくてはならない。不要な文書が組み入れられて文書を取り扱う仕事を増やすようになっていないか注意する必要がある。
ISO事務局のガイドラインが強調しているのは、コンピューターのソフトで作成できる「既製品」の品質マネジメントシステムを導入しようとするコンサルタントの提案には注意を払う必要があることだ。その理由は、このような「既製品」は品質マネジメントシステムの構築期間を短縮すること以外は成功した試しがないとしている。さらに自分の会社で使える品質マネジメントシステムに変更・追加・削除などの手直しに”多くの時間と労力が無駄になる”としている。
ガイドラインは、コンサルタントに払う費用についても重要事項として言及している。コンサルタントとの契約の際には、コンサルタントの役割りや実施してくれる内容を記載した提案書や仕様書を要求すべきで、それも一社だけでなく他のコンサルタントにも同じことを求めて比較することを推奨している。
さらに続けて、コストだけで決定するのではなく、コンサルタントと面談しているときや業務のやり方を見学しているときを見計らって、これならコストに見合う助けを得ることができるかどうかを判断しなければならない。私見として申し上げるなら、この点が最も重要だと思う。監査員になるための研修セミナーにも明らかにコンサルタントを目指した人がいたが、彼は単に監査員の資格だけをとること目的にしていて、規格の内容や品質マネジメントシステムの意図していることが十分に理解出来ていなかった。このような人ばかりとは思わないが、やはりコンサルタントの力量を十分確認されるのが肝要と考える。
ISO事務局のガイドラインが最後に述べているのは、文書化に関することである。「品質マネジメントシステムの構築と文書化には近道はありません」としている。コンサルタントが品質マニュアルまで書き上げる契約になっているのなら、かならず業務に携わっている人々とともに充分討議して、この人々の意見が完全に組み込まれているものに仕上げることが大切で、コンサルタントの作った品質マニュアルを決して丸のみしないように警告している。 |