7 経営資源
7.1 経営資源の運用
組織は、持続可能性の展開と達成に不可欠な経営資源を戦略と計画作成を通じて明確にしなければならない。この経営資源には、顧客および利害関係者の満足および組織を経営するシステムの運営と改善に必要なものを含めるべきである。
持続可能性を達成するために、組織は、経営資源の管理、保護および開発の計画を作成すべきである。
備考1:持続可能性を達成するためには、組織はISO9001で要求されているレベル以上の経営資源の管理強化が必要だろう。
備考2:組織に役立つ経営資源には、組織内でのそれにとどまらず組織外の経営資源を含めることができよう。
備考で述べられているように持続可能性を目指すならば、ひと、もの、金を追加しなければ達成することはできない。特に、優秀な人材は欠かせないと考える。バブル崩壊後国からの資金が注入された日本の銀行の経営者によると古くて使い物にならないコンピューターシステムを新しく作り直すためにインドから人材を導入したそうだ。ところが、不足した要員を非正社員で補充することが日本で一般的になっているが、望ましい状況とは言えない。一方、新卒の大学生を二年も前倒しで採用しているがいったい人事採用計画がきちんとされているのかを疑いたくなる。あまりにも計画性がないと思うがいかがだろうか。
話は変わるが、この記事を書いている時に銀行から電話連絡があった。アメリカ財務局から年金の入金があったと知らせてくれた。新しい日米合意によってアメリカで働いた間の年金はアメリカの年金システムによって支払うことになった。日本の社会保険庁からは何の連絡もなかったが去年口コミでそのことを知った。そこで、手続きを日本の社会保険庁を通じて行った。社会保険庁事務所の担当者は支払がされるのはたぶん一年ぐらい後だろうと言っていた。ところが実際は7か月だけでことは終わった。しかも想像した以上の金額が私たち夫婦のそれぞれの口座に入金されていた。考えてみれば年金資金を高利で運用しているのだから当たり前である。一方、グリーンピアやその他の箱物のような価値を生まないものに莫大な資金を投入した日本の社会保険庁は退職者のことなど一切面倒をみるつもりなどないことは確かなようだと改めて思う。感じたことのもう一つは、アメリカで生活していたときにも感じていたことだが、アメリカの懐の大きさだ。年齢で差別をしてはならないので定年退職制はない。いくつになっても自分から退職すると申し出るまで辞めなくてよい。高速道路はほとんど無料、ワシントン市の博物館で買った月面着陸した宇宙船の本や国立公園で買った写真集は日本まで無料で送ってくれた、多くの博物館や美術館は無料などなど数えればきりがない。反対に、宗教法人で税金を払う必要のない鎌倉や京都の多くの寺では入場料がとられる矛盾。こんなことを自慢やアメリカびいきで言っているのではない。「日本の常識は世界の非常識」ということを本当に信じてほしいからだ。日本はアメリカの一番悪いことを踏襲して良いことの方は知らん振りしているといつも私が口にしている。話が長くなった。ここで規格にもどそう。
7.2 計画作成
組織は、経営資源の特定、開発、提供、監視、維持および保護に適切なプロセスを策定し、実施し、継続的に改善すべきである。経営資源に適用されるべき保護の程度は、その不足により起こりうる関連したリスクに見合ったものとなる。組織は、特定した経営資源の適切性を定期的に見直すべきである。
人事計画、訓練計画、投資計画、資金調達を含む財務管理、またその見直しは一般的に行われていることだ。
7.3 経営資源の配分
経営者は、組織の経営資源の必要性を評価し、その配分の優先順位を決めるプロセスを確立し実施すべきである。システムに起因し、継続的に発生し、同時多発することが原因で経営資源の不足が適切な期間内に解決できない場合には、経営資源に関する計画のプロセスを見直すべきである。
7.4 人的資源
7.4.1 一般
すべての階層の人々は組織にとって欠かすことができないものであり、彼らの全面的な参画によって初めて彼らの能力を組織の便益に活用することができるのだ。
人的資源の管理運営は、計画的で、透明で、しかも社会的な責任を果たすアプローチで行われるべきである。
組織は、人々が自身の責務ならびに、組織と利害関係者への価値を創造し提供することに関する活動の影響度と重大性を理解するよう動機付けをしなければならない。
組織は、このような価値を創造するための彼らの能力を高めるように訓練、権限移譲、知識交換を通じて体系的に追求するべきである。
組織での人々が顧客価値の創造と提供に必要な能力を備えることが確実にできるように、組織は、人々の能力開発と向上のためのプロセスを確立すべきである。
人々の満足を促進するために、組織は以下の事柄にも配慮しなければならない。
・人々の英知を共有し、利用するために、たとえば、提案制度ようなメカニズムを開発すること
・表彰と昇進などの人事制度を規定すること
・適切な表彰制度を導入したり人々の成果を評価すること
・自己啓発を促進するための技能認定制度を確立すること
・人々の満足感やニーズを継続的にレビューすること
・人々が必要な能力を持っているかどうかを決定するために、組織は、人々の現在の能力をレビューし、種々の能力評価手法を利用して分析し、開発を必要とする能力を明らかにしなければならない。
この能力開発の必要性を満たすために、組織は、適切な人材開発計画を策定しなくてはならない。
この開発計画では、教育・訓練および戦略的な人的資源経営に配慮されるべきである。
組織は、以下の事項を実施しなければならない。
・組織のビジョンと事業戦略に照らし必要となる能力に対する中長期の観点を決める
・能力開発に適切な学習技術を選択する
・学習効果を評価するための指標を決める
・学習を実践し関連記録を保管する
・目的に対しての学習効果を適時評価する
・組織の主要な信念を貫いて実践してきたことが効果的だったのかどうかを評価する
7.4.2 組織の人々の参画と動機づけ
経営者は、組織の人々が以下の点で貢献することの重要性と役割を理解していることを確実にしなければならない。
・彼らの成果を束縛していることを明らかにする
・問題を解決するための主体性と責任を受け入れる
・彼ら自身の目標や目的に対する成果を評価する
・彼らの能力、知識、および経験を強化するための機会を積極的に追い求める
・知識や経験を自由に共有する
7.5 インフラストラクチャー
7.5.1 一般
組織は、インフラストラクチャー(たとえば、建物のような物理的な資産、情報コミュニケーション技術(ICT)、機械や機器など)を効果的にしかも効率的に計画し、提供し、管理運営しなければならない。
目的に関係するインフラストラクチャーの頑強性、安全性、セキュリティ、コストおよび環境への影響を考慮しなければならない。組織は、インフラストラクチャーが現在と将来のニーズを満たすことが確実になるようにインフラストラクチャーとそれに関わる運営管理プロセスをレビューしなければならない。
組織は、インフラストラクチャーに付随するリスクを明らかにし、必然的な結果に配慮し、利害関係者のニーズを保護しなければならない。
7.5.2 作業環境
組織は、作業環境がすべての適用される法令および規制上の要求事項(職業健康と安全を含む)を順守することを確実にしなければならない。同時に、生産性や創造性を奨励し、しかも組織での人々と就業しているか、もしくは組織の敷地を訪問するすべての他の人(たとえば、顧客、供給者、パートナー)のための職場の福利向上に励むことにより、組織は持続可能性と競争力を維持するための手段を見つけ出さねばならない。
7.6 知識
組織は、情報、知識および技術を重要な経営資源と位置づけすべきである。必要とする情報、知識および技術を特定し、入手し、維持し、保護し、利用し、評価するプロセスを策定し、実施し、維持すべきである。組織は、このような情報、知識および技術をパートナー、あるいはその他の利害関係者と、適切なる場合、共有すべきである。
7.7 財務上の経営資源
組織は、財務上のニーズを予測し、特定し、これら明らかにされたニーズを満たすために必要な財務資源(実務の運営に、かつ将来の投資目的のための財務資源)を獲得しなければならない。経営者は、財務資源の効果的かつ効率的な配分を実現するためと同様に、その活用をモニタリングし制御するためのプロセスを策定し、実施に移すべきである。
7.8 天然資源およびライフサイクルの運営管理
天然資源(エネルギー、水、原油、鉱物、原材料などのような)の有効活用は、組織の持続可能性および自然環境の保存には絶対必要なことである。組織がそのような天然資源の利用可能性に関し、中長期なリスクや機会を考慮することが必要である。さらに、組織は資源開発、利用、および廃棄による副次的な作用がないかどうかを分析しなければならない。
ライフサイクル運営管理(LCM)とは、製品のすべてのライフサイクルに亘っての便益、コストおよびリスクを考えながらビジネスの意思決定をするアプローチのひとつである。したがって、それは確実性(信頼性、有用性、維持力、維持のための支援)、陳腐化、廃棄のような領域にわたる。
ライフサイクル運営管理は、たとえばコスト削減を通じて組織の競争優位性の構築に参加できる意思決定者の前に情報を提供する。加えて、このLCMを導入した組織は、重要な環境方針の動向に合わせた一歩進んだ企業として見られ、公衆のイメージを強化できる。
ライフサイクル運営管理は、製品もしくはサービスのすべての段階(すなわち、開始から最終廃棄まで)を吟味することになる。
品質と信頼性は製品の中に組み込まれなければならない。設計のプロセスでは、故障率、メンテナンスの容易性、補修部品(支援する供給手段を含める)の入手可能性のような側面に配慮がなされるべきである。
設計、製品製造もしくはサービス提供、配送、製品の使用および廃棄に関し環境への負荷を最小限にすることが考えられなければならない。環境負荷を分析する方法の例としては、ライフサイクル評価(LCA)、環境設計(DfE)、および環境ベンチマーキングがある。
さらに、組織は、必要に応じて、中断されることのない継続的なエネルギーの提供する上での責任のある実践と行動の計画策定を考慮しなければならないが、一方、自然環境を保護し、資源を無駄にしないことにも配慮しなければならない。
